FINAL FANTASY XVI(以下FF16)の話をします。
ネタバレありでただただ書きたいことを書き殴るので、気にする方は今のうちに戻るボタンを。

記事を読む前に

感想なんて100人いれば100人違うものが出てくるので、簡単にどんな人間が書いたのか自己紹介。
FFは7からリアルタイム。1から15までナンバリングは一通りプレイ済み。
好きな作品は1 3 4 5 7 8 9 10 14。中でも一番好きな作品は7。
好きなバトルは10-2。
好きなシステムは12のガンビット。
FF14は割と長いことやっていて、中でも好きなシナリオは漆黒。
吉田P(以下吉田)と第三開発事業本部のメンバーも信者とまでは言わないが能力は尊敬している。
FFは毎回期待しているものの、ここ数作は期待外れに終わって悲しい気持ちになっている。
PS5は今回の発売に合わせて購入。
アクションフォーカスモードでプレイ。
エンディングまで攻略済み、サブクエストはすべてコンプリート。
2週目は英語音声でプレイ中。

ファンタジーではないファイナルファンタジー

今までのFFシリーズの中で、最も現実的な中世ヨーロッパの世界観に近い物語だった。
国々の紛争があって、王族や貴族や騎士や奴隷などの身分があって、娼婦が街を取り仕切り、難民たちが生活苦にあえぐ。
切られれば血が出るし、なんでもない道中でモブはどんどん死んでいく。
そんな世界にifとして召喚獣と魔法が盛り込まれている。
かなりリアルな作り込みだと思った箇所もあるが、見たかった世界ではなかったように思う。
国々を転々として、似たような兵士たちを倒していくだけで、わくわくする作品ではなかった。
わくわくしない、というのは楽しい話でなかったという意味で、面白くなかったわけではない。
ただ、この手の世界観はよその作品にいくらでもあるし、FFであれば地底があって月に行けて、魔導アーマーがあって、飛空挺で空を飛べて、魔晄炉があって、学校が空を飛んで、謎の種族がたくさんいて、巨大な謎の生命体がいて、ファルシのルシがコクーンでパージされるような物語であって欲しかった。
ファルシは正直よくわからんけど。あと学校は空を飛ばない。

シームレスでジェットコースターのようなゲーム体験

グラフィックについてはいうこと無しで良いと思う。
画面が暗いとか色が薄いとか、いちゃもんのつけどころはあるけれど、クオリティが高かったのは間違いない。
売りにしていたプリレンダ級のグラフィックがリアルタイムで出てくることによるシームレスな体験は100点満点。
加えてプレイヤーの行動によって移り変わる展開に合わせた音楽の切り替えなどの技術的なこだわりもあってとにかく良いゲーム体験だった。
良い意味で動かせる映画だったと重う。ジェットコースターのようなゲームという売り文句にも納得。
PS5のパワーをこれでもかと使いきった、良い仕事だったと思う。

FFの新作

今回開発が第三ということもあってか、FFの捉え方が今までと随分違うように感じた。
言語化が難しいのだけれど、「FF」というシリーズがまずあって、その作品の新作を見せられている感が強かった。
特に気になったのは音楽。ところどころで過去作品のテーマが使われていたりして、「ファイナルファンタジーシリーズ」を作ることを意識しすぎている作品だったように思う。
プレリュードなどの一部の曲を除いては、FFの曲はシリーズごとで全て別の曲、別のテーマ、別の作品であって欲しいと思った。
原曲には原曲の思い入れがあって、それは原作のゲーム体験に紐づいているので、FF1の曲はFF1の世界に想いを馳せてしまうし、FF14の曲はFF14と比べてしまう。シリーズによってはそれが良いシリーズというのもあると思うが、FFというシリーズについて言えばそういう表現は受け入れがたかった。
それならテーマソングの「月を見ていた」のアレンジなんかをもっとゲーム中で使ったりしてもよかったんじゃないだろうか。
設定の面でのクリスタルやエーテルなんかも同じで、過去作品を悪い意味でかなり強く引きずっているように感じた。
全く新しい世界観で巻き起こる極上のファンタジーに、FFという名前をつけて欲しいと思った。

召喚獣バトル

召喚獣バトルはとにかく派手で、体験できる映画のような感覚で楽しめた。
バトル自体は戦略性もそれほどなくて単調だったので、通常バトルフェーズなんかはもうちょっとコンパクトでもよかった気もしたが、AAA作品の目玉コンテンツとして、十分魅力的だったと思う。
画面が派手すぎて何をやっているのかよくわからなくなることはちょっとあったけれど、劇的な体験ができてよかった。
ただ、バハムート戦があまりにも派手すぎて、宇宙まで行った挙句、その後に大陸間の抗争の話とかを見るのはちょっと地味で寂しいものがあった。世界観との調和がもうちょっと取れていたらとてもよかったと思う。
あととにかく落下時間長すぎる。せっかく演出全振りコンテンツだったのでもうちょっと立体的に画面作って欲しかった。

親切すぎるゲーム設計

ゲームは基本一本道で、迷うことがない。サブクエストも受注や目的にアイコンがついていて、探索などはほぼなく、親切といえば聞こえがいいが、遊びやゲーム性に乏しいゲームだったように思う。
装備はシナリオの進行度に応じて店で大抵揃うようになっているし、探索にもそれほど価値がないし、シナリオに集中できるようにとそういった設計になっているのかもしれないが、世界観やシナリオが超絶面白い話ではなかったので肩透かし感があった。

サブクエがいい

サブクエストは、プレイヤーがやるべき行動やクエスト自体の内容はともかく、世界観を説明する上でとても良くできたものが多かったように思う。
いずれもメインクエストに入れても差し支えないクオリティの物語がそこにあって、ヴァリスゼアやキャラクターを理解する上でとても重要な位置付けだった。
ゲームの性質上仕方ないけれど、何日もかかる旅程が一瞬で終わっていることになっているのはちょっと違和感があった。

プロモーション

「来い、イフリート!」はダメでしょう。
序盤の物語の中心になる、クライヴの復讐に何も意味がなくなってしまっているのをプレイ前のプレイヤーに教えて何がしたかったのだろう。
物語を台無しにしたといっても良いプロモーションだったと思う。今後は公式の情報すら入れずにプレイしないといけないのかもしれない。YouTubeの広告すらダメなのか?

重くて暗い

重くて暗い。話も画面も。
画面については召喚獣バトルの華やかさとのギャップという意味でそこまでネガティブなイメージはないけれど、話は明らかにFFに求められているそれではなかったと思う。重くても明るく描くか、暗くても軽く描くかして、残りの重みや暗さはプレイヤーに補ってもらうくらいでよかったんじゃないだろうか。
もしくは重めの展開はサブクエストあたりにおいた方がよかったんじゃないだろうか。あまりにも世界観のダークな面を説明的に描きすぎていたと思う。
もちろんクライヴの動機の描写として必要な分があるのはわかるけれど、それにしてもプレイしていて楽しいものではなかった。
ベアラーの話を中心に、特に正直オールドヒル造船所の一幕とか、あまりに重すぎた。
重い演出も、出血表現も、セクシャルな表現も、正直なくて良かった。
話の質感が洋ゲーのそれを意識しすぎているような感じがして、求めているJRPGの物語ではなかった。

工夫の必要がなく広がりがないバトル

バトルの操作については、それなりには面白かったのだけれど、要素が少なく準備に工夫が全く必要ないのが残念だった。
臭い息を喰らっても毒状態にもならないし、ボムにファイアが効く。
レベルが適正であれば「いつもの戦略」が全ての敵で通用してしまう。
魔法は全て球体を飛ばすだけだしファイラ以降は使えない。マジックバーストはテンポが悪くて気持ちよくない。
武器も防具も特殊効果はなくシナリオに追従して順当に強くなっていくのは正直どうかと思った。選択には価値がなく、装備更新は定期的に実行する作業だった。
アクセサリも強化幅が乏しい上にリザルトUP系のアイテムが早い段階で手に入るのでボス戦含めエンディングまでずっと経験値を上昇させて戦っていた。
アビリティも強化させても威力上昇くらいしか恩恵がなく、APは余らせまくっても普通に戦えた。
アクションゲームの弊害というところもあるのだろうけれど、敵を分類して行動パターンさえわかってしまえば、あとは定期的にアビリティを挟みながら□を連打して、必要なときにR1を押すだけのゲームに最終的には成り果ててしまったので残念だった。
アクションに対して、それなりにできるけれど必要以上にこだわらないタイプの人間だったのでそういう感想になってしまったのかもしれない。
ボスに勝てずに苦戦して、装備を見直して、レベルを上げ直して、戦略を立てて戦うゲームはもう流行りではないんだろうか?
育成要素や戦略要素が薄いのはどうにも楽しめなかった。
エルデンリングなんかの評判の良いアクションゲームにも同じような感想をいだくのか、ちょっと興味が湧いた。

リアルな表情と違和感

日本語音声でプレイしたのだけれど、洋ゲーの日本語版などをプレイした経験があまりないので、すごく違和感を感じた。
洋画を吹き替えで見るのは普通に楽しめるタイプではあるのだけれど、今作ではちょっとしたところで表情と声の表現の差で気になってしまうところがあった。
映像がよく出来すぎていた弊害かもしれない。
これについては英語版で2週目をプレイしなおしたらすごく印象が良くなったので、英語でプレイするのが正解だったかも。
英語は表情とセリフのリンクも素晴らしくて、非の打ち所がないクオリティに感じる。(序盤をプレイ中の今のところ)
会話が若干噛み合わないところがあったりするのも含めて、もしかしたら日本語ローカライズうまく行ってないのでは?と思うところがないわけでもなかったので、英語でプレイできるくらい英語力あったら良かったな。
日本のゲームなのに、日本語で最高の体験ができないのはちょっと残念。

終末が地味

終末表現として空が暗くなるというのがあるが、世界中の人々が困惑している割に、曇り空くらいの表現でしかなくてなんとも言えない感じになってしまった。
空が赤くなるとか、穴が開くとか、なんかもっと表現はなかったんだろうか。
クライマックスが地味でとても残念な気持ちになった。
もしかしてヴァリスゼアは曇らないんだろうか。

チョコボが馬

チョコボは愛馬じゃない、愛羽だ。馬と呼ぶな、鳥だ。
『ファイナルファンタジーXVI』でチョコボが「馬」と呼ばれる理由 - IGN Japan
あえてやっているとのことだけれど、どうしても気になった。
メティアは許されるのにチョコボは許されないのは納得いかない。
それと、RPGとはいえ、チョコボでなら飛びこせそうな岩とかにも壁判定がついていてすごく体験として残念だった。
移動はもうちょっと速い方が嬉しかったかな。降りるのもちょっと手間だし。
アクションゲームレベルで作り込めとは言わないけれど、もう少しチョコボフレンドリーに世界を作り込んでほしかった。

パーティメンバーやサブキャラクターが地味

ジルとジョシュア以外のサブキャラがみんな地味。リアルに寄せて色味を抑えた結果なのだろうけど。
正直このレベルのキャラクター感であれば洋ゲーやればよくないか?という感じがした。
ジルももっと活躍できる場面あっただろうに、随分能力を使い渋る展開が多かったように思う。
ヒロインとしての見せ場もかなり少なかった。あなたを必ず見つける、と思わせぶりなセリフを言った割に最後にクライヴを助けるのはジョシュアだし。
パーティメンバーの概念がほとんどないのもあって、メンバーの遷移や編成が物語やゲーム体験に与える影響が少なすぎて残念だった。
ジョシュアがアルテマを封印したのもよくわからない&ほぼ無意味で終わってしまったし、シドももう一歩魅力的にキャラ立ちさせてほしかったし、華やかさがもっとほしかったな。
ただ幼少期のジョシュアは抜群にかわいい。

クライブの装備が気になる

現実感を重視している割には、剣の扱いが雑だったような気がする。
あんな大剣、普通なら下ろすであろう場面でも常に背負っていたり、謎の力で吸着していたり、鞘を貫通して背中に仕舞われていたり。
あんまり細かいことを言っても言いがかりにしかならないが、リアルなグラフィックで現実感を突き詰めてこの世界観を選んだんだったらやり切って欲しいところだった。
あと走る時に発せられる革の擦れる音がうるさくて不快だった。気になりだすと割とつらかった。リアルなのはいいけれど、不快なのは違うと思う。

設定が謎

野暮なツッコミといってしまえばそれまでなんだけれど、気になるところが多かった。
フェニックスだけ祝福を授けられる設定もよくわからないし、
イフリートとフェニックスが火の召喚獣として2体いるのも合体するのもわからないし、
アナベラの動機も行動も納得がいくものではなかったし、
準ラスボス枠のバルナバスのバックボーンが全然語られていないし、
アルテマが随分早く出てきて先の展開が読めてしまうし、
リヴァイアサンは伝説にはいるのに登場しないし、
ベアラーは言葉を発することすら禁忌とされている地域でも流暢に話ができるし、
外大陸の話はちょこちょこ出てくるのに、全く話に絡んでこないまま世界の話をしているし、
とんでもなく頑張って発動させようとしていた魔法がレイズはちょっとダサい。

語られざる裏設定があるのはもちろん歓迎なのだけれど、エヴァンゲリオンじゃないんだから、必要な説明はちゃんとして欲しい。
あとアルテマは存在ではなく魔法の名前ってことにして欲しいし、ラスボスの名前くらい新規で考えて欲しい。

音楽が好みじゃない

これは完全に好みの問題。
好きな曲も多少はあったけど、全体的に好みドストライクではなかった。
強烈なインパクトのある曲やメロディ、音がもっと欲しかった。
オーケストラオンリーでまとめたのは個人的には面白みに欠けた印象。
せっかく器用なんだからいろんなテイストを使っていけばよかったのに。
まあ祖堅さんはアーティスティックで0-1がうまいタイプというよりは、職人気質で1-100がうまいタイプなイメージなのでさもありなんという感じはする。

トルガルはいいこ

かわいいし道案内できてえらい!

幼少期ジョシュアがかわいい

かわいい!

まとめ

色々書いたけど、正直めんどくさい人になっていると自覚はしている。
あくまで1週目の感想なので、2週目をやったら変わるかもしれないし、事実数日の間に少しずつ印象も変わってきている。
ただ、この熱量を冷めたり溶けたり混ざったりする前に書き出しておきたかったので、一旦現時点での感想として書き連ねた。
ちなみに色々書いたけど80点くらいはつけて良いと思っている。ただし、期待値が高すぎたので満点は120点だけど。
好みに合わなかっただけで、AAAタイトルとしては及第点は取れていたとは思うし、クオリティが高い作品ではあるし、応援はしているので、せめて黒字くらいには売れて欲しい。
世間ではそれなりに好評だし、ネームバリューもあるし、吉田も信頼しているので心配はそれほどしていない。
というより、あの人は仕事ができすぎるあまり、売り上げと発売と諸々のしがらみを優先してこの落とし込みをしてきたんじゃないかなとすら思っている。
マーケット調査の末、切り捨てられたマイノリティ層なのかなぁという自覚はちょっとある。
ただ、次のFFのナンバリングは、自分にドンピシャで刺さるFFであって欲しいな。
アーティスティックであって欲しいし、社運を賭けた”ファイナル”ファンタジーくらいの気概が欲しい。
もっとも、やりすぎて破綻したファブラノヴァというシリーズもあったので塩梅も難しいのだけど。
歳をとったからこんなくどくど面倒なことを書き連ねているのだろうと薄々気づきながらも、いくつになってもFFは自分にとっての最高のゲームであって欲しいと思ってしまうのは、夢の見過ぎなのかもしれない。
そんなことを考えながら今日も英語を喋るクライヴで世界を駆け回る。