FINAL FANTASY VII REMAKEの話(ネタバレなし)
とにゃ〜!キッドです。
今日はFF7Rの話。発表から5年、随分待ちましたが、実際やってみてどうだったのか、振り返ってみます。
圧倒的解像度でリメイクされたFF7
解像度、といってもなにも画質のことだけじゃなくて、ストーリーだったり、マップだったり、音楽だったり、キャラクターだったり、ゲームのあらゆる要素がきめ細かに作り込まれている、スクエニの本気が感じられるゲームだった。
平面から立体に生まれ変わったミッドガル
リメイクとしての完成度はオリジナルと見比べればすぐにわかる。リスペクトとオマージュで丁寧に再現/再構築されたミッドガルは、確かにあの頃歩いたミッドガルだった。ゲーム冒頭からその作りの丁寧さは感じることができる。
オープニングムービーのあと、最初の戦闘が終わると、クラウドは奥にある階段を左に入っていく。オリジナル版ではここでマップが切り替わってロックされたドアの前に出るけれど、リメイクはシームレスなので、曲がった先にもマップが続いている。改札があって、階段があって、登るとさっきの駅のホームの2階に出る。ここにあるのが、ロックされたドア。そう、オリジナルにもあるアレ。
オリジナルでは画像2枚だったマップが、3D化されて、整合性がとられた上で、歩けるようになっている。ミッドガルが「記号的でゲーム的な2Dの世界」から「自由にカメラを回して歩き回れる3Dの世界」に生まれ変わってるといえばいいだろうか。「マップとマップの切り替わりの隙間」や「画面外にあるはずの人が生活している気配」といったものがきちんと描かれていて、ミッドガルをよりリアルに見せてくれている。ちなみにドアを開けた直後、壱と描かれた魔晄炉を見上げるシーンも、オリジナルへのオマージュ。
腐ったピザを下から見上げられるのは、オリジナルではできなかったリメイクの特権。再現だけではなく、丁寧な再構築が、スラムで生活する人々の視点をプレイヤーに与えてくれた。
深掘りされたキャラクターと丁寧に描かれるストーリー
リメイクでは膨大な量の会話でストーリーやキャラクターがさらに深掘りされている。
例えば、爆破ミッションの最後、魔晄炉から逃げる際にジェシーが転ぶシーン。オリジナル版にするとだいたい2秒くらいのセリフすら入らないシーンだけれど、これがリメイクだとジェシーとの掛け合いが魅力的なムービーに生まれ変わっていて、まるで「あの2秒間を今のクオリティで作り直したらここまでできる」とでも言わんばかり。
もちろんそれはムービーだけの話ではなくて、ただの道中の何気ない会話だったり、時には周りのモブの噂話だったり、至るところにある。おかげでミッドガルを出るまでが本当に濃厚な物語になっているし、キャラクターが掴みきれなかったビッグス、ウェッジ、ジェシーたちが愛着の持てるまで作り込まれているのには本当に脱帽する。
懐かしいメロディによる新しい体験
これだけ力の入ってるリメイクなので、音楽面ももちろんすごい。サントラが7枚と聞いたときは、ネタか?と思ったくらいだけれど、プレイを通して納得した。
楽曲の方は原曲の植松さんのメロディが素晴らしいのはもちろんだが、とにかくアレンジが丁寧で、元の曲のエッセンスを残しながら、ときにストレートに、ときに大胆にアレンジされている。ACのメロディやCCや雰囲気を醸し出していたりするところもファンとしては嬉しいポイント。
で、なんで7枚組のサントラになるのかというと、同じ曲の別アレンジが本当に多い。例えば「エアリスのテーマ(初対面時)」「エアリスのテーマ(教会)」「エアリスのテーマ(家)」「エアリスのテーマ(公園)」といった具合。それがそれぞれちゃんと流れる時間、場所、登場人物、雰囲気に合わせて作られていて、本当にマッチしている。
使い回しの曲はほとんどないんじゃないかと思う。分岐ルートでもムービーには専用曲が入ってる、くらいのイメージ。そのシーンのために作られた曲が物語を盛り上げてくれる。キャラクターに強く紐づいたメロディが丁寧にアレンジされているからなおさらだ。
スクエニから出た新作RPGとして
じゃあ、リメイク作品としてじゃなく、1本の新作ゲームとしてどうだったの?という話。
一体感のあるゲーム体験
このゲーム、あからさまな「プリレンダリング感」のあるムービーが存在しない。(もしかしたら全部リアルタイムレンダリングなのかもしれない。)それによって、移動とバトルとイベントがシームレスに繋がっていて気持ちがいい。自分が動かしていたはずの画面がそのままムービーになったり、イベントとバトルが入り混じったりする演出があるが、切り替わりがとても自然で違和感を感じさせない。そのおかげで自分が操作しているキャラクター(ゲーム部分)とストーリー(ムービー部分)が干渉している感覚が強く、没入感が高いように思う。ムービーから戻るときも、自然なカメラ移動でうまく視線誘導がされて、物語の進行を助けてくれるのも嬉しいところ。
また、一体感で言うと、音楽もすごい。曲数が多いのはすでに書いたが、それらが本当にうまく使われている。フィルムスコアリングのように映像に合わせた音楽になっていたり、同じメロディの別アレンジをナチュラルに切り替えるNieR:Automataのような手法が取られていたり、膨大な量の曲を持て余すことなく、丁寧に組み込んである。
そういった細かなところに気が利いていて、気持ちの良いゲーム体験が生まれているんだと思う。だからこのゲームは映像として見るんじゃなくて、ゲームとして体験して欲しい。
キャラクターの豊かな表情
キャラクターの魅力はオリジナル版の功績だろ!といえばそれまでだし、もちろんその影響もかなり大きいのだけれど、そのキャラクターたちをさらに魅力的に見せるための努力が事細かに感じられる。
その一つがキャラクターの表情だ。嬉しい顔、悲しい顔、というテンプレート的な表情ではなく「得意げだけどあまり表には出そうとしていない表情」とか「面倒くさそうだけどNOと言えない表情」とか、言葉に落とし込むのも難しいような微妙なニュアンスまで表現してあって、キャラクターたちが本当に魅力的に見える。ムービーの丁寧なリップシンクも見所だ。
さして重要でもないシーンにも撮り下ろしの表情がついてたりするので、本当にキャラクターが生き生きとしている。もともとキャラクター人気の高い作品だから力を入れたというのもありそうだが、多分この領域でここまで作り込んでる作品って他にないんじゃないだろうか。プレイするときはぜひ片手間ではなく、キャラクターの一挙手一投足まで、見てほしい。
まとめ
エアリスがかわいい。とにかくかわいい。そのかわいさは周りの世界や振る舞いの圧倒的な作り込みによって裏打ちされている。ミッドガルだけの分作に5年かかった理由は、プレイすればわかるだろう。これ以上の作品は、多分しばらく見ることはないと思う。今から続編が楽しみだ。
つづき